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2009年5月5日火曜日

レイン・フォール/雨の牙

(RAIN FALL)

洋画だと思っていたが、れっきとした邦画だという。
バリー・アイスラー原作のハードボイルド小説『雨の牙』の映画化。〈暗殺者ジョン・レイン〉シリーズの第一作であるそうだが、読んだことない(汗)。
今のところシリーズは四冊まで訳出されているが。

バリー・アイスラー自身、元CIA局員で、日本滞在中の経験からこの小説は生まれたそうな。だから主人公も日系アメリカ人。
なんと椎名桔平が主役のジョン・レイン役である。
共演が驚きのゲイリー・オールドマン。レイン確保に執念を燃やすCIA支局長の役。
椎名桔平とゲイリー・オールドマンという異色の顔合わせ。

しかも日本を舞台にしたハードボイルド。
ああ、『ブラックレイン』みたいな映画を観られるのかと期待したのですが。

……甘かった。

ぬう。期待させやがって。
さっぱり盛り上がらない。なんでこんなに地味な展開なのだろうと考えていて、思い当たったが、銃撃戦もカーチェイスもないのである。
序盤の地下鉄構内での緊迫した展開が上出来だっただけに、その後に続く展開が静かなままなので、余計に落胆してしまう。

そもそもゲイリー・オールドマンを起用したのはいいが、予算の関係からか、撮影日程の都合からか(多分、その両方だろう)、オールドマンの登場シーンが限られているのである。
ほとんどCIA支局の作戦司令室にいて、複数のモニタを睨みながら、矢継ぎ早にエージェント達に指令を飛ばしていく──だけでした。
最初のうちはそれでも良かったが、やはり後半は支局長自らが現場に乗り出してもらわないと、盛り上がらないではないか。
多分、オールドマンの登場シーンだけ別撮りで片付けたのであろう。椎名桔平との対決シーンも最後の最後でちょっとだけ。
なんぢゃそりゃ。

くそ。宣伝に欺された。

椎名桔平もいい役者なんだけどなあ。
ここはマット・デイモンみたいに、椎名桔平にビルからビルに飛び移ってもらうとか、橋の上から河に飛び込んでもらうとか、カーチェイスで首都高速を爆走してもらうとか……やらないとダメでしょ?
目つきばかり鋭いが、何もしないなんて……。

一応、物語は急死した国土交通省の高級官僚が隠匿した機密情報を納めたメモリスティックの奪い合いが本筋なんだけど……。日本の警察からも、CIAからも、ついでにヤクザからも追われているのに……。
フツーはさ、ヤクザがヒロインを掠って人質にとって、メモリとの交換を強要する筈だよなあ。
でもって単身乗り込んでいく椎名桔平が策を用いてヤクザの手下達を片っ端から血祭りに上げていき、ヤクザの雇った殺し屋と死闘を繰り広げる筈だよなあ。
ラストは日本の警察とCIAが現場に駆けつけたときには、既に椎名桔平とヒロインの姿はなく、壊滅したヤクザの一味のみが残される──というベタベタではあるが、これが正しい筋書きではないのか?

さっぱりそんな展開にはならないまま、ヤクザも壊滅しないまま、そんなんで事件解決と云えるのかよ的なツッコミ待ちなラストシーンを垂れ流して、終わってしまった。

柄本明の老刑事とか、いい味出していたのに活躍せず。
ヒロインの長谷川京子もさっぱり魅力的に見えない。

どうもバリー・アイスラーの原作とは随分とかけ離れているらしい。パンフレットの原作者へのインタビュー記事を読むと、小説と映画は別物ですという発言がとても謙虚な人柄に感じられました。なんか可哀想だなあ。
どうもすべての責任は監督兼脚本家のマックス・マニックスにあるようだ。それとも、やっぱり邦画だから予算が足りなくてやむを得なかったのだろうか。

どちらにせよ、詰まらんもの観てしまった。


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