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2008年3月15日土曜日

バンテージ・ポイント

(VANTAGE POINT)

 アクション&サスペンス映画が好きな方には絶対のお奨め。

 国際テロ対策首脳会議に出席した米国大統領が演壇の上で狙撃され、直後に爆弾テロが発生する――という事件を人種、国籍、年齢、性別、職業の異なる人物が様々な視点から目撃するという趣向。
 もう脚本と構成力の見事さには感心する他はない。

 たった20分足らずの出来事を8回繰り返して観客を飽きさせない、とは大したものです。これを上映時間一時間半にまとめた編集の腕も冴えてます。
 やはりサスペンス映画は二時間以下にしないとね。

 繰り返される度に新たな事実が浮上し、パズルが組み合わさっていくのは実に爽快です。
 主演の一人、フォレスト・ウィテカーは「『羅生門』みたいだろ」とコメントしている。黒澤作品はやはり有名なんだねえ。
 しかしここでは「真相は藪の中」ではなく、遂に陰謀の全体像が明確になるのが違う。同時多発した事実がピタリと収まるのでカタルシスが得られます。
 全体的に推理小説ぽい静的なシーンばかりかと思いきや、クライマックスには激烈カーチェイス(CGではない)も用意されていて凄いです。
 ピート・トラヴィスという監督には馴染みがない――新人だし――が、サスペンス映画の作り方には職人技を感じました。

 主演、競演の役者は多国籍な上に、物語上は全員が主役みたいなものだからベテラン揃い。
 フォレスト・ウィテカーの他には、デニス・クエイド、シガニー・ウィーヴァー、ウィリアム・ハート等々。私は『LOST』観てないのでマシュー・フォックスは今作が初めてでした。
 結構、渋めのキャスティングなのがますます私好み(笑)。
 一応、メインはデニス・クエイドかな?

 ウィリアム・ハートが狙撃される大統領役。合衆国大統領が現実にこんな人格者なら国際テロはもっと早期に解決しているだろうに。あまりにも立派な人なのでちょっと現実に対する皮肉のようなものも感じました(笑)。

 緻密な犯罪計画がほんの些細なアクシデントから水泡に帰するという展開も大好き。
 教訓 : どこで誰に見られているか判ったものではない。

 物語は最初から最後までスペイン(でもロケはメキシコだったそうな)なので異国情緒たっぷり。やはりカーチェイスはヨーロッパの狭い石畳の道路でやるのがいいよね。
 ピート・トラヴィス監督がカーチェイスで参考にしたのは『フレンチ・コネクション』と『ボーン・スプレマシー』だったそうな。
 個人的にはフランケンハイマーの『RONIN』みたいだなあと思いました。


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