2008年1月10日木曜日

魍魎の匣


 複雑長大な〈京極ワールド〉をよくぞ二時間強にまとめたものだと感心しました。
 もちろん相当な取捨選択とドラマの再構成が必要となり、削られたエピソードも多々あります。
 それでも原作ファンが読んでもきちんと『魍魎の匣』として成立しているというのが巧いです。監督・脚本の原田眞人の手腕に感心しました。
 実は前作『姑獲鳥の夏』より面白いかも。

 前作は完全に「本格ミステリ」でしたが、今回は「ハードボイルド・ミステリ」。
 京極堂が謎を(あまり)解明しない、謎はドラマの進展に連れて自ずと明らかになってしまうという展開になりました。
 大体、原作の冒頭部分は映像化した途端に謎解きもへったくれもないというか、只のネタバラシ。でも削るには惜しい場面なので、是非観たい。
 あの場面をどうするのかと思っていたら……。

 「ほう」

 そうきたか(笑)。

 だから冒頭から登場するのは榎木津で、続いて関口、木場&青木……主役である筈の京極堂は放置されたまま、50分くらいしてからようやく登場という(笑)。
 その代わり登場してからは独壇場。堤真一のハマリ役だなあ。
 各キャラのイメージも定着しましたね。阿部寛、宮迫博之、田中麗奈……。今後もこのキャストで続けて製作してもらいたい。
 関口巽のみ、前作の永瀬正敏から椎名桔平に変更されてますが、これはこれで巧い変更でした。前作では半ば事件の当事者でしたが、今回は完全に傍観者の筈がなかなかの存在感。
 椎名桔平のおかげで映画の雰囲気がコミカルになり、あの京極堂との絡みをギャグ寸前にしてくれていた(笑)。

 昭和30年代のノスタルジィを売り物にしたCG合成炸裂な某人情大作(笑)に比べて、ほとんどロケのみで戦後間もない東京を再現した演出は大したものです。
 どうやったのかというと中国ロケでカバー。
 現代の上海郊外の風景が五十年前の日本として通用するというのが驚きです。
 でも何カ所か「やはり日本じゃないよなぁ」という場面があるのは御愛敬。総じて「奇妙な日本」だけど独特な雰囲気はある。

 このロケを多用し、全然別な場所で撮った映像をカットのつなぎで同じ場所として編集する妙が素晴らしいです。
 『姑獲鳥の夏』は、ほとんど狭いセットの空間を実相寺アングルと舞台劇の演出で更に凝縮し、実は屋外シーンは数えるほどしかなったのですが、『魍魎の匣』は完全にその逆。空間的な広がりが印象的です。

 でもひとつだけ、京極堂の本拠地たる〈武蔵晴明神社〉と神社前の〈目眩坂〉だけは、『姑獲鳥の夏』のセットの方が良かったなあ(私のイメージ通りなので)。


 この調子で『狂骨の夢』と『鉄鼠の檻』も映画化希望。
 今年の夏頃にはまた京極ものを読み始めるか……。


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