〈ダーウィン大賞〉とは、「子孫を残すことなく最も愚かな方法で死亡し、そのマヌケな遺伝子を自らの手で削除したことで、人類進化に貢献したと認められる人に贈られる」実在の賞である。シャレがキツいのう。
〈ゴールデン・ラズベリー賞〉より受賞が難しい。
なんせ「常識の著しい欠如と致命的判断ミス」がないと受賞できないそうだ(笑)。
ドキュメンタリー映画かと思ったら、一応はフィクションであった。
が、ネタになった事件はすべて受賞した実際の事件のものだとか。
辞職した警察のプロファイラーが保険会社に再就職し、不可解な保険金請求事件の調査を任される。持ち前のプロファイリング技術を駆使して解き明かしていく数々の事件のマヌケな真相とは――。
故障した自販機に腹を立てて〈商品〉を無理矢理取り出そうとし、倒れてきた自販機に押しつぶされて圧死した年収一千万円以上のバカ。
凍結した湖で釣りをしようとしたが氷を割るのが面倒くさくてダイナマイトを持ち出したバカ。
軍が放出する余剰物資からロケットエンジンを買ってきて自家用車に取り付け、「風になって」伝説を作るつもりが「お星様になって」しまったバカ。
RV車のオートクルーズ(速度一定化)機能を文字通りの「自動操縦装置」だと勘違いして走行中に後部シートに移るバカ。
世の中、バカばっか!
一見、『X-ファイル』並の事件のようで、解き明かすと『ジャッカス・ザ・ムービー』だったというネタの数々。
『X-ファイル』よろしくモルダーとスカリーのように調査に当たる主人公にジョセフ・ファインズとウィノナ・ライダー。他にジュリエット・ルイスとかデヴッド・アークエット、クリス・ペン等の個性派で脇を固めています。
渋い配役というか、演技力は確かだが華がないなあ。だから単館上映になるワケですが。
シリアス役の多いジョセフ・ファインズとウィノナ・ライダーがギャグぶちかますという珍しい作品ではありました(笑)。
特にシャワーを浴びようとしたが「浴室での転倒事故」を怖れるあまり、考えすぎた挙げ句に間抜けな行動を取ってしまうジョセフが笑える。ホントにジョセフ・ファインズなのか、この人?
多分、クルーゾー警部役になってピーター・セラーズの代わりに『ピンクパンサー』に出演しても違和感ないであろう。
しかし大筋においては、腹抱えて笑うと云うよりも、考えてからクスッと笑うタイプの映画。こう書くと松本人志の『大日本人』と同類のようであるが(似たような演出している箇所もある)、アレより遙かに面白いです。
また「人は何故こんなバカなことをしてしまうのか」という考察に、〈ダーウィン大賞〉受賞者を笑いものにするだけでない配慮を感じました。
それにしてもこの映画が『レザボア・ドッグス』でナイスガイ・エディ役だったクリス・ペンの遺作だったとは……。
そういえばウィノナ・ライダーの出演作を観たのも、丁度一年前の『スキャナー・ダークリー』だったが。
ウィノナ姐さんもめっきりミニシアターな女優さんになったのねえ。
●余談
バカB級ムービーとして噂の高い『俺たちフィギュアスケーター』を観に行くつもりが、渋谷の単館上映だった上に満員で、チケット買えませんでした。
年末にこんなバカ映画を観る人が沢山いるなんて。
で、こっちの『ダーウィン・アワード』の方を観たのです。
「渋谷おバカ映画対決」とか宣伝されていたが、どう見ても『俺たちフィギュアスケーター』の方が勝ちでしょう。
あっちが満員なのに、こちらはガラガラ(笑)。
同じ単館上映のバカ映画なのにこの落差。やはり下品な方が受けるのか。
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