とうとう公開後、5週間も経過してから、やっと観に行きました。
平日の雨の晩に仕事ほったらかしで定時退社してまで観に行ったのデス。公開直後は毎回満員だったのでしょうが、5週間も経てば劇場内はガラガラでした。
実を云うと観終わって、誰かと一緒に観に行くべきであったと痛烈に思いました。
上映が終了し、場内が明るくなっても周りに知り合いは誰もいない。
誰でもいいから連れが一人でもいれば、たった今、観終わったコレについて「なんか発言する」ことが出来たのに。痛恨の極み。
ああ、誰かと語りたい――と云うか、ツッコミたいッ。
なんなんだ、コレは(泣)。
私の知人、友人共は公開直後に早々と徒党を組んで観賞してしまい、あとで訊いたところに拠ると、鑑賞後はもう飲み会で一大ツッコミ大会が始まったらしい。ああ、くそ。俺も無理してでも一緒に行けば良かった。
そのくせ誰も私に警告してくれないのである。非情だ。よくもニヤニヤとほくそ笑みながら私が地雷を踏みに行くのを傍観してくれたな。
三話構成のオムニバスである。
第一話「桜花抄」、第二話「コスモナウト」、第三話「秒速5センチメートル」。最終話が表題作となっている。
「ねえ知ってる? 桜の花びらってね、秒速5センチメートルで落ちるんだって」
冒頭、最初の台詞で知りたかったことは判りました(笑)。
青春の甘酸っぱい恋愛模様が独特のタッチで語られるのはいいんだけどね。
この手の青春ものを観ていて「もどかしい。チンタラやってんじゃねェ!」と感じるのは、そのように演出しているからであって、それはそれでいいのです。ああ、若いってイイなあ。
でも問題はラストだよなあ。
あんなところで終わっていいのデスか?
三話構成のオムニバスで、第一話「桜花抄」と第二話「コスモナウト」は良かった。
しかし表題作でもある肝心の第三話「秒速5センチメートル」が……アレですか。
引っ張るだけ引っ張っといて、そんな。
遠野くんのダメダメ人生は救済されないのですか。彼はどこで人生を間違えたのだ。リアルと云えばリアルなんだろうが、俺はそんなオチを求めていたわけでは無いぞ。
確かに画は美しいわ、音楽は印象的だわ、緻密なロケハンが見事な世界を構築してくれてました。聖地巡礼に詣でるファンは沢山いるのでしょうな(かなりいるみたい)。関東に住んでいる身としては、栃木あたりまでなら充分、日帰り可能デスが。
第一話の大雪で交通機関が麻痺してしまい、ジリジリと時間だけが過ぎていくという演出が巧いです。雪の降り積もる駅の風景がいいですね。
でも栃木県在住の知人によると「栃木にあんなに雪は降らぁんッ」だそうで(笑)。
第二話の舞台、種子島の夏の景色も素晴らしくて、この個人的にはこの第二話が一番でしょうか。花苗ちゃんの片思いは、決して叶わないと判って観ているだけに、なかなかに切ない……。
と、思っていたら遠野くんは明里ちゃんと遠距離恋愛していたのではなかったという衝撃のオチ。ええっ、そんな。
しかしこの時点ではまだ第三話もあるし、救済策はちゃんとあるのだろうと信じていましたよ。ええ、信じていたのにッ。
そして第三話。大人になって東京に戻ってきて社会人になった遠野くんの空虚な人生。別の女性と付き合っていても、明里ちゃんが忘れられない。判ります。
夢が叶わぬままダラダラと日々を生きている、という描写は実にリアルだ。なんかもう非常に共感できる。
だからこそ、物語自体はもうちょっとファンタジーでも良かったのではないか――と思う。
そりゃあ、引っ越していった初恋の人と何年も遠距離恋愛を続けた挙げ句、ちゃんと結ばれるなんて現実にはアリエナイでしょうとも。でもだからと云ってさぁ……。
あんまりだ。
なんとなく山崎まさよしの「One more time, One more chance」の曲を使いたかっただけと思われるようなクライマックス(多分)は、まぁ好みの問題でしょうが。
♪いつでも探しているよ~どっかに君の姿を~♪
ああ。もう脳内で勝手にハッピーエンドを捏造してしまいたい。と云うか捏造しよう。
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