2007年3月10日土曜日

ハッピーフィート

(Happy Feet)

 ピクサーの『カーズ』を押さえてオスカーのアニメ部門を受賞したというから、どんなものかと思っておりました。
 あのとき、アカデミー賞にノミネートされていた長編アニメ作品は『カーズ』、『モンスターハウス』、『ハッピーフィート』の三作でしたが、私の観たところコレは三番目に面白いです。何故『カーズ』は受賞しなかったのだろう?
 『森のリトルギャング』はどうしてノミネートされなかったのかなあ。ノミネートされていたら『ハッピーフィート』は四番目になったことでしょう(笑)。

 うちのムスメを連れて観に行き、激しく後悔しました。

 まず日米の感覚の差に愕然。
 キャラが可愛くない!

 この「可愛く無さ」は動物を主人公にしたファミリー向けアニメとしては致命的ではあるまいか。少なくとも日本ではあのペンギンを「可愛い」と感じる人は少ないでしょう。
 盛んにTVで流されるスポットCMを観ていると、意図的に欺そうとしているのが判って面白い。ペンギンの雛がタップを踏む、とっても可愛いCMですね。
 でも本編では主人公が雛でいる時間は僅かである。
 あっという間に成長して「可愛くない大きなペンギン」になるのである。物語のメインがペンギンの青春物語なのだから仕方がない。幼年時代なんてホンの束の間。
 可愛いペンギンちゃんを観に行った親子連れはさぞかし肩すかしを食らうでしょう。

 この基本的な考えの違い!
 「リアルなペンギンはとってもラブリーだからデフォルメする必要を感じなかった」と公言するジョージ・ミラー監督! お前は一生〈萌え〉を理解できまい。
 大体、ミラーと云えば『マッドマックス』だろう。アクション&バイオレンスの人の筈でしょう?
 『ベイブ』なんてブタの映画を撮ってから奴は変わってしまったのだ。
 「リアルな動物こそ最も美しい」と考える人は、アニメなんか作っちゃいかーんッ。

 皇帝ペンギンのリアルさがいかに凄いかというと、うちのムスメが怯えて泣き出すくらいである。見事なまでにCGで再現されていました。そこまでする必要があるのか?
 そしてペンギン以上に凄まじいのがゾウアザラシとシャチ。確実に小さな子は泣きます。事実、泣いた。
 なだめすかして最後まで観るのに苦労しました。他の観客の皆様には御迷惑だったことでしょう(汗)。

 皇帝ペンギンが主役ですが、アデリーペンギンも出ます。イワトビペンギンも。
 かろうじて「リアルでも可愛い」のが此奴らですが、残念ながら脇役。
 日本人としては、アデリーペンギンを主役にして、皇帝ペンギンは脇に回す方が受けると思うのだがなあ。このあたりの感覚の違いも違和感を感じる所以です。
 ラテンのりで踊るアデリー・アミーゴスの方がよっぽど可愛いのに……。

 お子様向けでないもう一つの理由が日本語吹替版である。
 なんとミュージカル場面では字幕になるのだ。ディズニー(ピクサー)だと完全に日本語化するのに。『カーズ』を見習え!
 多分、著作権とかの絡みがあるのでしょう。オリジナルの歌曲ではなく、過去のヒット曲を歌う所為だな。ペンギンがプレスリーを歌うときには、やはり日本語化は出来ないのか……。
 おかげでムスメは歌の場面でも意味が把握できず詰まらなさそうでした。
 これは字幕が読めるようになる小学校高学年あたりからでないと判らない映画です。

 せっかく主役の吹替声優がNEWSの手越祐也なのに──イライジャ・ウッドを吹替るのに手越祐也かと云う異論はあるがそれは置いときましょう──歌わせないのである。
 なんだそれ。
 宝の持ち腐れではないのか?
 まぁ、手越くん自身は頑張っていましたけどね。大根ではなかった。

 そして最後に、物語の後半が実にシビア。
 南極の環境破壊問題がテーマになってくるので、何とも暗ぁい話になるのである。
 断じて、コレは「愛くるしいペンギンちゃんの冒険物語」ではありません。
 お子様おいてけぼり状態。
 ムスメはもう、このあたりまで来るとスクリーンの方すら見なくなってしまった。まるっきり興味を失った様である。

 一応、最後には人間とペンギンの交流が図られ、ペンギン達は救われるハッピーエンドではある。
 「ダンスは種族を超えて通じ合う」というメッセージっぽいもの(笑)も感じられる。エコ問題を取り上げたことで大人達からのウケも良いのでしょう。
 でも子供向けじゃない。

 配給会社の人もどう宣伝したものやら困ったことでしょう。
 だからとりあえず可愛いヒナのシーンだけ掻き集めてCMをでっち上げたワケやね。
 でもあのCM以外にヒナでいる場面は……ホントに少ない。

 誰か、いぬいとみこの『ながいながいペンギンの話』をアニメ化しないかしら。



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