単なる総集編だけならスルーしてしまおうかとも思っておりましたが、僅かでも続きが観られるなら行かねばなりますまい。急速せんこー。
でも、実は原作の方はさっぱり読んでおらず、作者のArk Performanceが複数作家の共同筆名であると云うのも、長いこと存じませんでした(ガンダムのスピンオフ作品とかも読んでないし)。所詮、アニメの方しか知らないニワカであります。
そもそも最初は人気のブラウザ・ゲーム『艦隊これくしょん』の方から「軍艦の萌え擬人化」に傾倒し、その後で本作のことを知ったという次第です。どちらにも同名の軍艦が登場しますが、まるで別人(当たり前か)。金剛さんは俺の嫁(の一人)ですが、コンゴウさんは違います。
本作の原作コミックの方はまだまだ連載が続いているようですが、アニメは割と早い段階から独自のストーリー展開に突入しているようで、原作もカバーしている知人によると「かなり端折られている」のだそうな。
ちなみに本作は原作コミックを発行している少年画報社の創立七〇周年記念作品とも銘打たれておりますね。そうか、少年画報社は戦後間もなく設立されたのか。戦後七〇周年と時を同じくして創立七〇周年。しかしそれを記念するアニメ作品には、軍艦がガンガン登場するのですが、そこは宜しいのデスカ。私が気にし過ぎなだけデスカ。
まぁ、少年画報社は他にも創立七〇周年記念事業として『赤胴鈴之助』とか『まぼろし探偵』といった昭和の傑作漫画を電子書籍で復刊したりもしておりますから、本作もそういった記念事業の一環というわけですかね。
それにしても近年やたらとミリタリ関係のアニメやらゲームやらに親しんだ所為で、それまで知る機会もなかった雑学を身につけてしまいました(今まではその必要もなかったし)。おかげで『永遠の0』(2013年)とか観ても、特に用語の説明台詞に必要を感じないまでになれたのは有り難い(のかなぁ)。
本作の監督はTVシリーズから引きつづ行き岸誠二が務めております。劇場用長編アニメとしては『AURA~魔竜院光牙最後の闘い~』(2013年)に続いて二作目になりますね。
本作がTVシリーズの頃から、ほぼ3DCGで制作されているのは岸監督の提案によるものなのだそうな。当初、パッと観では人物までCGなのだとは判りませんでした。
3DCGのアニメと云っても色々あるものです。個人的な好みなら、先日観た『アップルシード アルファ』(2015年)のような超リアル路線よりも、本作のようなセルアニメ風な路線の方が馴染み深いし親しみも感じるのですが、わざわざこんな作りにするのは日本だけなんですかね。
TVシリーズの総集編から、更にその先まで描いていこうと云うワケですので、配役についてもまったく変更なし。
千早群像役が興津和幸、イオナ役が渕上舞。以下、タカオ(沼倉愛美)、ヒュウガ(藤田咲)、ハルナ(山村響)、キリシマ(内山夕実)等々。皆さんお変わりなく嬉しいですね(しかし聞くところによるとドラマCD版なるものもあるそうで、そちらでは福山潤が群像で、悠木碧がイオナなのだそうな。ちょっと聞いてみたいものデス)。
総集編が入るので、マヤ(MAKO)もコンゴウ(ゆかな)も登場します。カーニバルだヨ。
劇伴の音楽も甲田雅人。主題歌もナノと Trident が担当しております。
劇場版としては新作部分はかなり後になってからですが、導入部にも少々、独自のカットが入ります。イオナが初めて人類の前に姿を現し、鹵獲されて曳航されていく過程を、 Trident の「Blue Snow」に乗せて紹介するアバンタイトル。劇場版としてはそれなりに雰囲気のあるオープニング……だったのですが、そこから先は怒濤の総集編でした。
総集編なのに本作の題名には「DC」と付くようですが、これがディレクターズカット版のことだと云うのはどうなんでしょうね。監督自らが泣く泣くカットしたからDCなのか。
とりあえずTVシリーズは全話視聴しておりましたので、特にまごつくことはありませんでしたが、これは凄い。イマドキ、こんな総集編を劇場で目にすることが出来るとは。
ホントに開き直ったかのようなダイジェスト場面の連続でした。ところどころを登場人物のモノローグで繋げておりますが、これはもう一見さんお断りです。
色々と端折る割に、ギャグ短編『霧くまs』も挟み込んでおります。これはサービス?
色々と大人の事情もあるのでしょうが、この構成は如何なものかと思ってしまいますねえ。いっそTVシリーズだけで一本の劇場版にするとか、『魔法少女まどか☆マギカ』(2012年)のようにTVシリーズ分も前後編に分けて、三作目を新作劇場版にするとかすれば良かったのに。予算的にも興行的にも難しいか。
しかしここまでTVシリーズを圧縮するなら、もっと圧縮して、新作部分を増やして戴いても良かったのに。いやもう、観に来る客はTVシリーズ視聴済が前提だろうから、完全なる一見さんお断り仕様にして、序盤から早速にTVシリーズの続きを始めて戴いても良かったのですが。
と云うか、そうして欲しかった。
本作は尺にして一〇五分となっていますが、総集編部分が三分の二くらいあるように感じられました(計ったわけではありませんが、新作部分の方が短いでしょう)。
何となく新作部分は「第一三話」として放送しても足りたのではなかろうかとの想いが拭いきれませぬ。
実際は総集編六〇分、新作四〇分といった配分のようです。
まぁ、ストーリーは飛び飛びのダイジェストでしたが、名場面集と割り切れば腹も立たぬか。派手な場面が次から次へどんどん出てきますからね。
逆にTVシリーズ未視聴な方が本作を観たとして(そんな人いるのか?)、ストーリーを理解出来たのか訊いてみたいところデス。
イオナと群像の出会いから、早速にタカオ戦、続いてハルナ・キリシマ戦。振動弾頭のサンプルを積み込んで出航。追撃するコンゴウとマヤ。
乗組員の紹介などは一切省略して、振動弾頭についても説明なしです。なくても判るけど。
ハルナと蒔絵(原紗友里)の出会いも交流も超駆け足です。シャキーン。
ヒュウガの登場も唐突すぎる。
しかも休む暇なしなので水着回もスルーされました! ちょっと期待していたのに!
そのまま400(日高里菜)と402(山本希望)に挟撃されて、一旦轟沈。すぐにアルス・ノヴァ仕様で復活。暴走するコンゴウとの最終決戦を経て、アメリカに到着。
ドラマ的には、コンゴウとの決戦でかなり盛り上がりますので、もしやこのまま終わってしまうのではないかとも思われましたが、そのまま何事もなくドラマは継続されていきます。ああ、よかった。
まずは振動弾頭が量産化されて実戦テストされます。あっと云う間に量産できるのか。さすが米帝。
見事に〈霧の艦隊〉の一隻を撃沈。クライン・フィールドを無効化できた……と喜ぶのも束の間。残りの弾頭すべてにロックが掛けられ、使用不能状態に。
そもそもアメリカと云うか、大多数の人類と〈蒼き艦隊〉は目的が違いましたからね。目指すのは〈霧の艦隊〉の殲滅ではなく、相互理解。
とりあえず人類には対抗手段があるぞと理解してもらえるデモンストレーションが一度あれば充分だろうと云う考えですが、おかげで同胞からもお尋ね者になる。
振動弾頭のロック解除に手間を掛けさせ、稼いだ時間で〈霧の艦隊〉の総旗艦とのコンタクトを目論む千早群像。勿論、総旗艦とは大和型戦艦ヤマトとムサシですね。「大戦艦」の上位クラスだから「超戦艦」とな。
まぁ、日本の聯合艦隊を模した敵ですから、総大将が大和と武蔵と来るのも当然ですが、長門や陸奥はスルーですか。原作の方では登場したのかしら。
断片的に得た情報によると、ヤマトもムサシも北極海を周回しているらしい。
〈霧の艦隊〉総旗艦とのコンタクトを目指すイオナ達ですが、今回はヒュウガとタカオは同行せずです。連絡は取り合っておりますが、二人は硫黄島に残ったらしい。
まぁ、タカオさんはようやくメンタルモデルが復元できただけですし。でも、ここでちゃんとサービスカットが入ります(笑)。
それにしても、タカオさんはヒュウガのボケにノリツッコミまでするようになりました。どんどん人類に馴染んでいくというか、ギャグ要員化していきます。
そしていよいよ新劇場版に向けた新たな敵の登場となります。
TVシリーズでは金剛型戦艦四隻──金剛、比叡、榛名、霧島──のうち三隻まで登場しておりましたが、最後の一隻である二番艦ヒエイが立ちはだかる。
予備知識が無かったので、完全に意表を突かれました。
シリアスな場面に堂々と「生徒会長」が登場してくれます。制服の上に腕章まで付けたメガネのお姉さんです。
概念伝達フィールドも「生徒会役員室」仕様という凝りよう。一体、どこからそんな知識を得たのか知りたいですわ。うーむ。また人類の文化を間違えて理解している人ですね。
イオナを「校則違反の不良」だと糾弾し、「コンゴウお姉様は不良とつき合って堕落しました」などと云い放つ。『アルペジオ』が学園ドラマになってしまった(笑)。
TVシリーズでの概念伝達フィールドは英国庭園調のあずまや仕様でしたが、あれはコンゴウさんの趣味だったのか。英国生まれでティータイム大好きなのは、アッチの金剛さんと一緒なのね。
概念伝達フィールドは〈霧の艦隊〉の中でも趣味で仕様が変わるもののようです。
このヒエイ会長役はM・A・Oですが、市道真央の名前の方が馴染み深いです。『海賊戦隊ゴーカイジャー』のルカ・ミルフィと云うか、ゴーカイイエローですからな。
こちらのヒエイ会長は素っ頓狂な悲鳴を上げたり、カレーを作ったりは……しないか。
更に、ヒエイ会長の配下の生徒会役員(全員ちゃんと腕章装備)が、四隻の妙高型重巡洋艦。ミョウコウ(福原綾香)、ナチ(佐藤聡美)、アシガラ(三森すずこ)、ハグロ(五十嵐裕美)。
本作に於いては、単なる顔見せ──台詞も一言ずつだし──で本格的な見せ場は後編にあるようですが、全員女子高生のメンタルモデルです。劇場版後編は本格的学園ドラマに突入してしまうのか。
「霧の風紀は地球の風紀」が合言葉らしい。
顔見せのみと云えば、ラストで登場する超戦艦ムサシもそうですね。釘宮理恵でした。
更にムサシの上にはヤマトが控えているようですが、ヤマトには出番なし。代わりにムサシと共に群像の父、千早翔像(中田譲治)の登場です。そして発せられる人類への降伏勧告。
行方不明の父が何故、〈霧の艦隊〉と行動を共にしているのか。果たして父は本当に人類を裏切ったのか。
──と云うところで、後編『蒼き鋼のアルペジオ ─アルス・ノヴァ─ Cadenza』につづく。
「カデンツァ」とは楽曲の終止部分の旋律的な構造だそうですが、この場合は「完結編」といった意味なんですかね。本当にドラマが完結するのか、甚だ怪しいと云わざるを得ないのですが、とりあえずは後編を待ちたいと思います。
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