2011年8月18日木曜日

メカニック

(THE MECHANIC)

 チャールズ・ブロンソン主演の『メカニック』(1972年)のリメイクです。
 最近じゃ、こんなものまでリメイクされるのか。喜ぶべきなんですかね?
 かつてブロンソン演じたクールな殺し屋アーサー・ビショップに扮するのは、我らがジェイソン・ステイサムですよ。B級アクション路線まっしぐらな姿勢が非常に好ましい。
 願わくばこの先も恋愛映画とかには一生縁のない役者でいてもらいたい(笑)。

 細かい部分に変更点はありますが、筋はほとんど変わりません。
 沈着冷静な殺し屋ビショップに、師であり旧友でもあるハリーの暗殺指令が下され、それすらも黙々とこなす。その後、ビショップはハリーの息子を弟子にして、殺しのテクニックを叩き込む。やがて若者はビショップを凌ぐ殺し屋へと成長し……。

 ブロンソンの場合は、割と頭脳的と云うか、細かい仕掛けで事故を装って標的を殺すタイプでしたが、ステイサムの場合はかなり肉体派な殺し屋描写になっています。役者のイメージにあった変更なので、そこは文句なし。
 用意周到で沈着冷静。腕と度胸もある殺し屋役がハマってます。

 ステイサムの弟子になる若者はベン・フォスター。『X-MEN:ファイナルディシジョン』でエンジェル役だった人ですね。今回は髪を短く刈り上げ、ヒゲ生やしたりして、大分印象が異なります。オリジナル版ではジャン・マイケル・ヴィンセントが演じておりましたが、昔の方がカッコ良かったような(贔屓目かな)。

 ちょっとだけ登場するステイサムの師である旧友ハリー役がドナルド・サザーランド。出番は少ないですが、こういうお方が脇を固めてくれると安心して観ていられますな。

 銃と漢だけのハードボイルドな映画……の筈なのに、ステイサムとモデル出身の女優ミニ・アンデンとの濡れ場がちょっとだけあります。別に要らないと思うのデスが。この場面の所為で[R-15]指定になっているような気がする。
 たとえ本筋に関係が無くても、サービスでエロい場面を入れてしまうのもB級デスね。
 登場する銃器に関してもマニアックな考証が行き渡っているようですが、私はガンマニアではないのでよく判りませんでした(汗)。観るべき人が観れば判るのでしょう。使用する銃がキャラの性格描写にも表れているそうな。

 オリジナル版ではブロンソンは、不治の病を患い、いつでも死ぬ覚悟が出来ているような虚無的な殺し屋を演じておりましたが、さすがにステイサムではそんなことはない。
 逆にハリー殺害指令にも躊躇いを見せたり、自分が利用されたという真相を掴んでからは、組織のボスに復讐しようとする。実は見かけによらず熱い漢だったのだ。
 そのあたりの性格描写が、弟子との関係にも表れている。脚本の変更箇所が巧く生かされているように見受けられます。

 改良された脚本では、オリジナル版でちょっと説明不足かなと思われる箇所をきちんと説明したりしています。
 特にハリー殺害指令がきちんと本筋に絡んでいるのがいい。単なる殺しの依頼と云うだけでなく、組織内部の権力闘争に絡んでステイサムは利用されたということになったので、クライマックスに向けて動き出す動機にもなる。
 また、ハリーの息子が父の仇討ちを企んだり、ハリーの息子を弟子にする動機も推察できる──ステイサムは口が裂けても本音を吐露しないでしょうが──演出なので、「メカニック」と賞されながらも、生身の部分が垣間見えてハードボイルド描写に拍車が掛かっております。

 更にオリジナル版に比べて中盤のアクション展開が派手になっているのもイイ感じです。
 ベテランの殺し屋ステイサムは用意周到、沈着冷静なので、荒事になるような展開は似つかわしくない。でもそれだと淡々とし過ぎて面白味に欠ける。
 アクション展開はすべて未熟な弟子のドジとヘマによって招来されるという展開が巧いです。
 これによって、ステイサム独りならすんなり行く仕事の場面も、敵に感づかれての銃撃戦になったり、緊迫した脱出の描写に繋がる。
 また未熟な弟子の身の程知らずっぷりも、場数を重ねて次第に機転を利かせるようになり、成長していく様子も伺えて一石二鳥。まぁ、B級アクションに相応しく尺も93分とお手頃なので、そんなに早く急成長するのかという疑問は残りますが(笑)。

 総じてリメイクとしては成功していると申せましょう。
 唯一、展開に不自然さを感じたのは、クライマックス前の、組織に自分がいいように利用されたのだとステイサムが感づく場面ですね。

 弟子のドジで銃撃戦になりながらも、何とか窮地を脱したステイサムは、アジトで落ち合おうと弟子と別れて雑踏の中に紛れ込む。ここまではいい。
 でも、その雑踏の中で、まったく偶然にステイサムは「死んだ筈の組織の殺し屋」の顔を見かけるのである。
 そもそもハリーの裏切りでそいつが死んだと聞かされ、それが故に気の進まないハリー殺害を請け負った筈なのに、なんで死んだ男がピンピンしているのか。男を追って問い詰め、やっと自分が欺されていたことを知る。
 組織内でハリーを邪魔に思うボスが、ハリー排除の為にデッチ上げたデマカセを、メカニックともあろう自分が鵜呑みにしてしまったとは……。

 ありがちな理由ではありますが、きっかけが「雑踏の中で偶然、見かける」なんぞというウルトラスーパー御都合展開であるのが、気になって仕方がない。ホントにここだけはどうにかならなかったのか。
 まぁ、絶対に起こり得ないとは云いきれませんけどねえ……。
 ここだけに目を瞑れば、そこから先の組織への反逆展開は自然な流れだし、アクションも派手で燃える演出なので、文句は無いのですが。まぁ、B級アクションにありがちな御都合主義だと割り切ればいいのでしょうが。うーむ。

 派手にドンパチやって組織を壊滅させて、旧友の仇を討ち、今後はフリーランスの殺し屋になるか……と云うところで、最後のケジメが待っている。遂に弟子に自分が父殺しの張本人だと知れてしまった。
 さて、どうなるか。

 オリジナル版だと、ブロンソンは自らの運命を受け入れるようにジャン・マイケル・ヴィンセントの手に掛かっちゃうのデスが……。
 今回もそうなるのかと思いきや、ステイサムしぶといッ。まだまだ現役だぜと不敵な面構えのステイサムが素晴らしい。ブロンソン版もこうだったら良かったのに。
 弟子の一歩も二歩も先を行く用意周到ぶりは流石デス。
 まさに「周到な準備が勝利を招く(VICTORY LOVES PREPARATION)」ですね。
 でもこれだと続編やろうと思えば出来ちゃうのですが。
 ステイサムだしな。やるのかな。

 ところでこの映画の製作はデヴィット・ウィンクラーとビル・チャートフ。オリジナル版の製作だったアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフの息子達だとか。製作総指揮には親父さんの名前も見受けられます。
 この二人は、この先も親父さん達の製作した作品のリメイクを企画していくのでしょうか。
 するとそのうち『破壊!』(1973年)とか『ブレイクアウト』(1975年)なんかもリメイクされたりして。観てみたい気もするが、面白いのだろうか。
 いっそ全部ジェイソン・ステイサム主演でリメイクするか。




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