2011年7月10日日曜日

アイ・アム・ナンバー4

(I AM NUMBER FOUR)

 SF版『トワイライト/初恋』と云うか、ライトノベルの映画化作品ですね。古参のSF者からすると、手垢の付いたネタと云うか、よくあるパターン的印象がするのは否めませぬ。
 しかし決して手を抜いて製作されているわけではなく、きちんとした段取りを踏んで、丁寧に仕上げられた佳作と申せましょう。
 監督が『イーグル・アイ』のD.J.カルーソだからかですかね。

 滅亡した異星人(ロリエン人)の生き残りが地球人の振りをして地球各地に潜伏しており、敵対する異星人(モガドリアン)に追われているという設定。
 ロリエン人は見た目は地球人とまったく変わらないが、モガドリアンの方は歯が尖っていたり、鼻の両側にエラが付いていたりで、サメを思わせる容貌。もう見ただけで善玉と悪玉の区別が付く。悪玉はもう見た目通りに凶暴で、血に飢えた連中で、情け容赦ない。
 このあたりの問答無用な設定が、いっそ清々しいと云うか、開き直った感があって、ここがスルー出来ない方には、この映画はお薦めできませぬ。

 どうでもいいが「ロリエン」と云う単語自体、ナニやら私には『指輪物語』を想起させるというか、妖精=エルフ=善玉という図式を狙っているように感じられます。「モガドリアン」もそうだよな。きっと「モガドール人」と云う意味なのだろうが、これもまた『指輪物語』ぽいネーミングですな。あからさまにモルドールを連想させるというか、ちょっとあからさま過ぎやしませんかねえ?

 ロリエン人の生き残りは九人。いずれも年端のいかぬ少年少女。但し、各自が様々な超能力の持ち主であり、モガドリアンは彼らが成長することを怖れている。何とか能力を使いこなせぬ年齢のうちに抹殺しようとしつこく追跡している。
 一方、少年少女にはひとりずつ守護者が付けられ、成長するまで彼らを護衛している。

 えーと。この護衛の人達もロリエン人なのだから、生き残りは九人じゃなくて一八人なのでは(汗)。しかも守護者は各々が腕の立つ剣士のようではあるが、超能力は無いらしい。少年少女はロリエン人の中でも貴重な存在であったという設定である。

 少年少女には番号が振られている。主人公であるジョン(アレックス・ペティファー)は、ナンバー4。
 超能力を持つ九人の少年少女──おお、実にアニメ向けというか、少年誌に連載されるようなネタではありますが……。
 いきなりナンバー3が抹殺される場面から始まっちゃったので、ちょっとビックリしました。

 うーむ。九人のメンバーが勢揃いすることは、どうやら無いらしい。なんか残念ですなあ。
 冒頭のナレーションで、既にナンバー1から順に発見され抹殺されていることが説明される。何故、順番でなければならないのか、理由は説明されない。なんか拘りがあるのだろうか。
 既に三人まで狩られてしまったので、次は主人公の番というワケであるが……。
 なんかもう色々とツッコミたくて仕方のない点が多々あるのですが、そこはスルーしてあげましょう(笑)。

 超能力者が追っ手の目を逃れながら各地を転々とするという設定自体は、特に目新しいものではありませぬが、きちんと段取りを踏んで描写されているのが好印象でした。
 特に主人公がティーンエイジですから、色々とお約束なことがいっぱいあって……。

 転校先の高校──転校生が異星人で超能力者か! 涼宮ハルヒなら放っては置かないところですな──で、気になる女の子サラ(ダイアナ・アグロン)とボーイ・ミーツ・ガールしたら、アメフト部のイケメン部長(当然、イヤな野郎)でサラの元カレに絡まれたり、イジメられている科学ヲタクの少年と仲良くなったり、もう学園ドラマとして定番な展開が順を追って消化されていく。元カレ野郎の親父が町の有力者(保安官)であるというのも、素晴らしい。外さないねえ。
 表向きナンバー4は父子家庭ということになっている。守護者である剣士ヘンリー(ティモシー・オリファント)が父親役。本当の両親を知らないので、サラの何気ない一家団欒に憧れてしまったりする心理描写が実に丁寧に描写されていく。

 しかし演出が丁寧なのはイイが、おかげでなかなか事件が進展しません。もう残りのナンバー5からナンバー9までが集結することが無いのは明白なのデス。続編前提か。
 だから色々と未回収なままになっている伏線がある。

 実の父の形見であるという謎な箱。「時が来ればお前に明かそう」と云われながら箱の中身は謎のまま。
 他にも、ナンバー4の能力は他のロリエン人とは異なり、特殊であることが説明される。ヘンリー曰く「お前とナンバー9だけが持つ能力だ」
 でもナンバー9、登場しないし! 何故、その二人なのかの説明もない。

 物語はオハイオの田舎町での学園青春ドラマに、次第に追跡の輪を縮めていくモガドリアン御一行様と、同じく謎の美少女の追跡行が断片的に挿入されながら進行していく。のんびり青春している場合ではないのであるが、ナンバー4は色々と迂闊なことをやらかし、ネットに動画を投稿されたりして、正体を晒しまくっている。ほとんど追ってきて下さいとお願いしているようなものだ。そうしないと追っ手の方も困るからでしょうが、なかなか御都合主義的です。
 凄腕の剣士である筈のヘンリーが、UFOマニアなヲタ野郎共にあっさりやられて捕まってしまうと云うのも、実に御都合主義的である。守護者のくせに弱すぎるぞ、ヘンリー!

 謎の美少女(テリーサ・パーマー)が実は仲間であるナンバー6であり、一番頼りになる助っ人だったりしますが、両手に花状態にならないのはおかしい……(日本のアニメなら間違いなくそうするね)。
 ナンバー6が男勝りの闘士で、ちょいビッチであるのはとてもイイのですが。
 しかしナンバー5をとばして、いきなり6ですか。しかもナンバー6の守護者は既にモガドリアンに殺されている。あれ? 順番に抹殺していくというルールはどうなったのでしょう?

 まぁ、何だかんだ云って、高校の校舎を舞台にしたクライマックスの攻防戦は、それなりにド派手なので、なんとか一本の映画としては合格でしょう。TVシリーズの第一話パイロット版に多額の制作費を投入しているだけのようでもありますが……。
 怪獣映画としてもなかなか迫力有りますし。

 結局、意外な展開は何一つ無く、お約束を片っ端から消化していく(だけの)物語なので、途中で寝てしまっても全然問題ない(実は前半の学園ドラマ部分がちょっと眠くて……)。
 いや、ひとつだけ意外なところがあったか。
 イヤな野郎だった元カレのマーク(ジェイク・アベル)が最後でイイ奴に転向してしまうことか。なんでそんな爽やかな奴になっちゃうんだよ(笑)。

 原作は六部作になる予定(まだ完結していないのか!)だそうだが、映画の方はどうなるんですかね。なんか先行き、非常に不安デス。
 とりあえず残りのメンバー全員が登場するまで、なんとか製作して戴きたい。
 うーむ。誉めているのか貶しているのかよく判らなくなりましたね。


アイ・アム・ナンバー4 (マイケル・ベイほか 製作、D・J・カルーソ 監督) [DVD]
トレヴァー・ラビン/オリジナル・サウンドトラック 『アイ・アム・ナンバー4』
アイ・アム・ナンバー4 <ロリエン・レガシーズ> (角川文庫)

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