2009年製作の、プラネタリウムで公開された作品の平面版であるそうな。
だから今回は帰還シーンの最新映像が追加された「帰還バージョン」になっています。まぁ、追加シーンと云っても、ちょっとだけなんですけどね。上映時間も46分と短いし。
今回は「地球帰還一周年記念」上映なのだそうです(笑)。
こんな作品を上映してくれるとは。ワーナー・マイカルよ、ありがとう。
全編にわたって緻密な映像が見事でした。
そうか。2010年6月13日だったか。
もう「はやぶさの日」とか云って祝日にしてしまえばいいのに。
ドキュメンタリと云いつつも実写映像はほとんどありません。
そりゃ小惑星探査機を追いかけて撮影なんか出来ませんから。必然的にCG映画にならざるを得ませんが、科学的に正確な描写になっているようです。
しかし科学的には正確なのでしょうが、いかんせんナレーションで詳細に解説したりしないので、よく判らない部分が無きにしも非ず。
例えば、出発早々、四基のイオンエンジンのうち、一基が作動していないという描写がある。最初から出力不安定な為に運転を停止していたのだが、そこまでは説明してはくれないので、何故にエンジンがひとつ止まっているのか、素人には判りません。
他にも、観測史上最大規模の太陽フレアの直撃を受けたこともスルー。
やはり尺が短いから、行程の初めのあたりはカットせざるを得ないのか。
まあ、細かい不具合なんぞ、いちいち数え上げていけばキリが無いくらい、はやぶさの旅は過酷で、困難な上にも困難を極めたということなんでしょうが。
私も、地球帰還が確実になってから気にし始めた「にわかファン」の一人に過ぎませんから、まったく偉そうなことは云えぬのですが(汗)。
だからこそ気になる部分もある。全然、科学的ではないのですが。
篠田三郎のナレーションがね……。
はやぶさのことを「彼」と呼ぶのが一番、気になりました(爆)。
擬人化するなら「彼女」と云ってもらいたいッ。
どうもJAXA(宇宙航空研究開発機構)の方針では、衛星や探査機は男性扱いだというのが……。
うーむ。こちとら『現代萌衛星図鑑』を読んで以来、女の子だというイメージが強すぎて……。
そうだ。ナレーターを男性にするなら「はやぶさの声」と云うか、「はやぶさの中の人」にも配役して(女性声優に限る)、探査機の気持ちを代弁してもらうような演出にすればいいのでは。
いや、ソレはもうドキュメンタリじゃないから(大汗)。
しかし「はやぶさの中の人」という表現も、あながち間違いでは無さそうな説明もあります。なんせ探査機と呼ぶよりも、一種のロボットに近いというのだから。自律制御による判断が可能な機構を備えていれば、そりゃロボットだろう。
「ロボッ娘」と云うべきか。
さすがは日本のメカである。
太陽系の起源、イトカワを目指す理由、といった説明は勿論ですが、やはり地球スイングバイの解説場面は萌える──じゃなくて、燃えるッ。
この正確無比な軌道投入を見よ。
そしてイトカワに接近してからが本題。CGで、小惑星の断面まで見せてくれます(想像図でしょうが)。
リアクション・ホイールも故障しまくりで、イオンエンジンとの併用で姿勢制御を行う離れ業。しかし最初のタッチダウンには失敗し、二回目で何とか成功。
そして交信途絶。
このあたりから、やっぱりウルウルしてしまう。
いい歳して、ドキュメンタリで涙目になってしまうとは不覚ですわ。昨年の帰還時にもウルウルが止まらなかったし。もう条件反射になってしまったのか。
やっぱりヤマト世代ですから。
「必ずここに帰ってくる」とか云われると、もうイカンですね。
──そう。最終目的地はイトカワではなく、地球なのです。
くそ。篠田三郎のナレーションが私を泣かせようとするんデス。あうう。
満身創痍になりつつ地球を目指して飛び続けるはやぶさ。機体はもう汚れ放題。この描写は正確なんですかね。やはり小惑星の表面でコケているから、こんなに汚れてしまうのか。
そしてこのあたりからが追加映像になるのでしょうが、更に泣ける。
帰還カプセルの放出。次いで回頭。ボディのカメラレンズに地球が映り込むという演出。
ああ、CGだと判っているのに。
そのあとの大気圏突入シーンでは、何人が涙を堪えることが出来るのか。使命を果たして四散する機体。燃え尽きていく光点の中で、カプセルだけが飛び続けていく。
そしてカプセルの着地。
「オカエリナサイ」という他はない。七年間、よく頑張りました。
やっぱり劇場内で誰か洟をすすっていたぞ。俺もか。
エンドクレジットでは上坂浩光監督自身の作詞による「宙へ」が流れます。なかなか感動的な歌なのですが……。
個人的にはネットで評判になった、あの初音ミクが歌う「はやぶさ」を流してもらいたかった(バラード・アレンジで)。仕方ないので、そこは個人的に脳内補完。
ラストはやはり、あの地球を映した「最後の画像」。
地球か……。何もかも皆、懐かしい。うーむ。やっぱり云うよね。
ところで、このドキュメンタリとは別に『はやぶさ』という映画が製作中だそうな。ちゃんとJAXAの神奈川県相模原キャンパスでロケとかしているそうですが……。
監督が堤幸彦で、西田敏行と竹内結子が出演とな。今秋公開予定。
滅茶苦茶、不安なんですけど。大丈夫なのだろうか。
NHK-DVD 小惑星探査機“はやぶさ”の軌跡
おかえりなさい、はやぶさ [DVD]
現代萌衛星図鑑
ランキングに参加中です。お気に召されたならひとつ、応援クリックをお願いいたします。
にほんブログ村