2010年4月25日日曜日

ウルフマン

(THE WOLFMAN)

 ユニバーサル製作の古典的モンスターと云うと、ドラキュラであり、フランケンシュタインであり、狼男ですが、長らく古典的モンスター映画『狼男』はリメイクの対象から外されてきました。何故だ。
 『ドラキュラ』も『フランケンシュタイン』も九〇年代に原典のリメイクをやったくせに。ミイラ男にまで先を越されてしまった。
 いや、『ハムナプトラ』は原典の『ミイラ再生』からどんどん離れたシリーズになってしまいましたが。
 やっとのことで『狼男』のリメイク版が完成。ただ原典は他にも『倫敦の人狼』も含まれるようで、基本設定が『狼男』(1941年)で、後半のアクションシーンは『倫敦の人狼』(1935年)がベースらしいですね。古すぎてどっちも観ておりませぬが(汗)。

 その原典であるロン・チャイニーJr. 主演のオリジナル版『狼男』の脚本がカート・シオドマクだったというのは初めて知りました。十年早くリメイクしていれば、亡くなる前に見せてあげられたのに。
 ついでと云ってはナンですが、シオドマクつながりで『ドノヴァンの脳髄』もリメイクしないかな。

 今回、ロン・チャイニーJr. の演じたローレンス・タルボット役がベニチオ・デル・トロ。メイクしなくてもケダモノぽいですね。キューバの革命家を演じるより、こっちの方が似合っていると思う……。
 そして負けず劣らず怖い父親役にアンソニー・ホプキンス。笑顔がとても猟奇的。
 この親子、フツーでも怖いヨ!
 ちなみにアンソニー・ホプキンスは役作りの上で、もっと汚れた感じの人物にしたかったとインタビューで語っておられましたが、製作会社がそれを許さなかったとか。
 「今は本当にクリーンな時代になったしまった」と嘆いていましたが同感デス。

 でも主演俳優よりもリック・ベイカーの名前の方が先にクレジットされる──確かそうだったと思うぞ──とはこれ如何に。
 まぁ、リック・ベイカーあってこその企画ですから。ケダモノ系特殊メイクはリック抜きでは出来んでしょう。そう云えば弟子のロブ・ボーディンは最近、どうしているのでしょうか?

 リックの特殊メイクで狼男と云うと、必ず『狼男アメリカン』(1981年)が挙げられますが、ウェス・クレイヴン監督の『カースド』(2006年)は、やはり「無かったことにしたい」のでしょうか。アレはヒドい出来だったしねえ。
 なんせ『カースド』の狼男は「全部CG」でしたからね。リック・ベイカーの名前だけクレジットしておき、デザインだけで実際にはほとんど仕事させていないような代物だったし……。
 それに比べると、今回は名匠が存分に腕を振るっております。
 今回の特殊メイクは原典へのリスペクトと云うか、愛に溢れている。ロン・チャイニーJr. の狼男メイクだけは、スチール写真で何度も見たことはありましたが、よく似せている上に質感がアップしている感じが見事です。
 変身過程はやはりCGですが、変身後の造形をきちんと考慮し、実にシームレスな変身シーンに仕上がっています。職人がいい仕事をしています(笑)。

 物語の背景設定が一八九一年──またしても一九世紀末ヴィクトリア朝ロンドンですね──と云うのは、オリジナル版には無かった設定だそうですが、実にいい感じです。逆にオリジナル版の背景は製作当時の一九四一年。そうだったのか?
 雰囲気としては一九世紀末の方がいい。
 やはり『ドラキュラ』も『フランケンシュタイン』も一九世紀の物語ですからな。当然、『狼男』もそうなのだろうと思い込んでおりました。

 凶悪な狼男ではありますが、やはり哀愁漂うデル・トロの演技がいいデス。呪われた血統を受け継いでしまった悲哀ですね。
 で、血統と云うからには、そもそもの元凶は父親にあるわけで……。
 クライマックスでは、デル・トロのみならず、アンソニー・ホプキンスも変身してくれます。
 うわあ、マジでアンソニー・ホプキンスの顔に特殊メイクしているよ。これは必見でしょう。
 しかもオヤジの方が息子より凶悪で強いし(笑)。

 ここにもう一人、ヒューゴ・ウィーヴィングがロンドン警視庁の警部役で登場し、銀の弾丸を仕込んだ銃を持って追いかけてくる。最近は声の出演──『トランスフォーマー』のメガトロン様!──ばかりでお姿を拝見しておりませんでしたが、渋い面構えと渋い声ですなあ。

 エミリー・ブラントとデル・トロの秘めたロマンスなんかも描かれていますが、とりあえず私はオヤジな俳優さんが三人そろい踏みしてくれたので満足です。
 でも本当は更にもう一人、マックス・フォン・シドーがいたとか。

 パンフレットの監督インタビュー記事によると、ディレクターズカット版が既にあって、劇場公開版より一七分長いらしい。冒頭に、マックス・フォン・シドーが登場する場面があったそうだが、丸ごとカットしちゃったとか。
 そんな! なんて非道いことをッ。
 でもDVDではちゃんと復元するそうなので、今から楽しみです(笑)。

 ジョー・ジョンストン監督は撮影開始三週間前の土壇場で監督に起用されたそうですが、よくぞここまで作り上げてくれました。御苦労様です。
 当初はマーク・ロマネクが監督だったそうな。ロビン・ウィリアムズ主演の『ストーカー』の監督ですが、よく知らないや。
 私としては『遠い空の向こうに』と『ジュラシックパーク3』のジョンストンになってくれて、本当に良かったと思います。でも『オーシャン・オブ・ファイヤー』は観てないなあ。観ておくべきか……。




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