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2009年5月18日月曜日

天使と悪魔

(Angels and Demons)

また歴史ミステリのにわかブーム到来である(笑)。

トム・ハンクスは「遂にボクもシリーズものに主演できるようになった」と喜んでおるそうな。〈ロバート・ラングドン〉シリーズと呼ばれるのだろうか。
確かに、ハリソン・フォードの〈インディ・ジョーンズ〉シリーズや、ニコラス・ケイジの〈ベン・ゲイツ〉シリーズに並ぶシリーズものではあるかも知れない。
まぁ、ハリソン・フォードやニコラス・ケイジに比べると、ぐっとアカデミックな作風だし、一番学者ぽいわな。ニコラス・ケイジは学者と云うよりも山師という感じだし(笑)。

しかしインディ・ジョーンズよりも胡散臭いッ。
なんせネタがすべて〈陰謀史説〉に基づくものですから。同じ聖書が元ネタでも『レイダース』や『ナショナル・トレジャー』よりも『ダヴィンチ・コード』の方が物議を醸す所以である。
インディがナチス・ドイツを相手に戦うように、ラングドン教授は世界の秘密結社と戦う運命にあるらしい。

『ダヴィンチ・コード』では〈シオン修道会〉が相手でしたが、今度の敵は〈イルミナティ〉と来たか。
原作の順番で云えば『天使と悪魔』の方が第一作なのですがね。端的な題名にするなら『ガリレオ・コード』とした方が判りやすかったかも知れないが(笑)。

さて、結論から申し上げると──これは凄く面白い。
『ダヴィンチ・コード』を超えたと断言しよう。

多分、前作や類似作品のように、〈謎解き=宝探し〉ではない、というのが大きな功績でしょう。
これはもう純然たるミステリであり、タイムリミットが設けられたサスペンス・ドラマなのである。

冒頭、スイスのCERNが大型粒子加速器で、遂に反物質の精製に成功するところから開幕する。おお、いきなりSFだぜ。
そして殺人事件が発生し、0.25グラムの反物質が強奪される。
時を同じくして、ローマ法王が崩御し、次期法王を決めるコンクラーベが開かれる──が、なんと四人の最有力候補である枢機卿が拉致されてしまう。
〈イルミナティ〉を名乗る犯行声明文。
一時間おきにヴァチカン市内で殺されていく枢機卿。そして五時間後には反物質を封じ込めた磁気容器のバッテリが尽きて、ヴァチカンはローマもろともにこの世から消滅してしまうかも知れない。
果たしてラングドン教授はガリレオの暗号を解き明かし、〈イルミナティ〉の正体を暴き、拉致された枢機卿を救出した上で、強奪された反物質も取り戻すことが出来るのだろうか。

──という、「反物質云々」の部分を除けば、しごく真っ当なサスペンス映画と云えるでしょう。別に「反物質」を「核弾頭」に置き換えても差し支えないのですが。
一応、テーマが「科学と宗教の対立」であるので、対消滅エネルギーを「神の領域」と定義した上での展開なので理解は出来ますが。それにしても、とうとう反物質がごくフツーにサスペンス映画のネタに使われるという部分に時代を感じます。さすが21世紀(笑)。

しかもたった半日の出来事である。ラングドン教授が呼び出されてから事件解決まで、六時間足らずというスピーディな展開。たたみ掛けるようなテンポの良い演出が冴えてます。

ひとりまたひとりと殺されていく枢機卿。
犯行現場は、観光名所であり歴史的な寺院や旧跡。
しかも時期的にコンクラーベが開催されているので、ヴァチカン市内には熱狂的なキリスト教徒と観光客がごった返している状況下での、大胆不敵な予告殺人。
次の犯行現場を特定する為には、歴史的な蘊蓄が不可欠なのである。
舞台がヴァチカン市内に限定されるので、観光ガイドにもなるというリーズナブルな展開(爆)と、次から次へと開陳される歴史的トリビアが観ていて飽きません。
観光と知的興奮とスリルが同時に味わえます。

長大な原作を相当、刈り込んで脚色したそうですが、『ダヴィンチ・コード』よりも手慣れてきた分、巧くなったと云うべきなのでしょうか。
まぁ、詳細をつつけばトンデモ・ネタですし、反物質についても胡散臭いのは否めませぬが、映画としては良くできていると申せましょう。

ユアン・マクレガーが重要な役で出演しているのもポイント高いです。
事件の真相も前作よりは納得できます。


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