2007年10月24日水曜日

エクスマキナ

(APPLESEED : EXMACHINA)

 『アップルシード』(2004年)から三年。3Dライブ技法も進化しているのねえ。
 比較して観ると人物の描写が格段に進歩しています。お見事。

 ……と、同様の感想は『ベクシル/2077日本鎖国』のときにも感じましたが、やはりこちらが真打ちですね。まず「映画としてキチンと作られている」ので良し。やはり大事なのは技法でなく脚本だよなあ。

 しかしなんちゅーか「制作ジョン・ウー」の期待を裏切らぬ出来映えでした。
 と云うか、ジョン・ウーは荒牧監督に脚本段階で何回かアドバイスしたりしただけで、特に演出上の指導は一切していないのに。
 もう荒牧伸志監督以下、全スタッフが「ジョン・ウー、プロデュース」の名に恥じないように頑張りすぎた。
 「全員が非常に高いモチベーションで仕事が出来た」とは監督の弁でありますが(笑)。

 おかげでもう、ハトは飛ぶわ、二丁拳銃だわ、薬莢は飛び散るわ、教会で銃撃戦だわ、スゴいことになってしまいました。笑いが止まらん。いや、ハトにもちゃんと意味があるんですけどね(かなりこじつけ臭いが)。
 制作現場での合い言葉が「ジョン・ウーだったらこうするね」だったかどうかは知らぬが、御本人は完成試写を観て苦笑していたそうである。
 なんかもう原作者である士郎正宗の印象が薄れて、ジョン・ウーのインパクトが強烈に残ってしまいました(笑)。

 ともあれ、原作の持ち味を生かしたオリジナル脚本としては上出来。アクション要素もミステリ要素も過不足無く、予想できる展開も問題なし。やはりヒネリ過ぎは良くないよね。

 続発するサイボーグによるテロ事件。世界的な衛星ネットワーク構築を目指す〈オリュンポス〉に対する抵抗なのか。テロリストの遺した謎の言葉「ハルコン」。
 対テロ作戦中に負傷したブリアレオスに代わって、デュナンのパートナーとなったESWAT隊員テレウスは、ブリアレオスの遺伝子を使って生み出された最初の戦闘用バイオロイドだった。生身だった頃の自分に瓜二つのテレウスに心中穏やかでないブリアレオス。
 〈オリュンポス〉と並ぶ世界の新興勢力〈ポセイドン〉が隠蔽した「ハルコン・システム」とは何か。やがて事件は世界的規模に拡大していく……。

 原作の方では、いつも頼もしいブリアレオスが今回は非常に頼りなく描かれているというのが面白いデス。前作でも、実はサイボーグであることに劣等感を抱いていたり、全然「らしくない」描写が逆に人間臭いキャラクターを感じさせて、私は好きです。
 しかし今回は前作に輪を掛けて頼りないというか、弱々しい。
 声の配役が前作の小杉十郎太から山寺宏一に変更されている所為もあるのでしょう。おかげでガラリと印象が変わって、ちょっと若返った感じ。こうなると最初からこうして欲しかったような気もします。
 主役のデュナンが小林愛なのはそのままですが、それ以外全員が配役変更なのはちょっとビックリ。何かあったのか?

 ゲストキャラのリヒャルト・ケスナー博士がいい感じの悪役でした(笑)。声は土師孝也なので、マイルドな家弓家正という感じ。他の洋画吹替を観ていると、ハリポタのスネイプ先生が悪事を企んでいる印象がそのまんま。
 この映画の前に『パーフェクト・ストレンジャー』なんぞを観ていたので、下手に脚本をヒネらずにそのまんまこいつが悪役であってくれ、と祈りながら観ておりました。おかげで堂々と自分の悪事を宣言してくれたときにはホッとしました(笑)。

 脚本が割とシンプルである分、アクション描写や、心理描写が充実している感じデス。アクションもランドメイトによる銃撃戦だけでなく、バイク・アクションであるとか、格闘シーンも描かれていて巧いです。
 また、ブリアレオスが〈ヘカトンケイル型〉のサイボーグであるという設定も、巧く生かされておりました。ブリアレオスの能力を使えばサイバーテロも容易いのね。
 しかしナノマシンで暴走したブリアレオスの頭部に青筋が走る、という描写にはちょっと笑ってしまいました。表情の変わらないキャラですから、苦肉の策なのでしょうねえ。
 意外とブリアレオスのボディは柔軟性があるのかしら。

 殉職した隊員の葬儀の場面なんかも、実に洋画ライク。小雨が降る中の葬儀というのも、よくある場面ですが、それがいい。
 更に、プラダが衣装デザインを提供しているのもポイント高いですね。どこの場面かすぐに判るのが御愛敬デスが。

 キャラクターとしては目立たない義経くんが実は一番の功労者である。異常電波と暴徒化現象の因果関係を立証してみせるわ、ブリアレオス暴走を押さえる薬品を三本も用意してくれるわ(三本無かったら作戦は失敗していたね)、最終決戦前にランドメイトを調達して届けてくれるわ。実は大活躍なのではないか。ナイスガイだ、義経くん。

 今回は事件と平行して、デュナンとブリアレオスの絆が特に強調されているように感じられました。いつもデュナンを守り、サポートしているブリアレオスの方が弱体化してしまい、デュナンがそれを助けるという構図が巧い。
 回想シーンでは、ブリアレオスがデュナンを助けて云う。

 「世界が終わってもお前を守ってみせる」

 それを映画のラストでは、デュナンがブリアレオスに云う。ふたりが対等のパートナーであるということを感じさせる、実に真っ当なハッピーエンドでした。

 とりあえずもう一作、期待したいが……どうでしょうか。



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