ももクロがそんなに好きか。まぁ、パパは「みてみて☆こっちっち」よりも「猛烈宇宙交(げふんげふん)。
ムスメらにとっては、長編『キュレムVS聖剣士 ケルディオ』よりも短編『メロエッタのキラキラリサイタル』の方が目当てらしいですが、二本立てなのだからどっちでも同じか。先に短編の方から上映してくれるのでムスメら的には満足のようで。
昨年のヒドい二本同時公開なんぞという興行は止めにしてくれて助かります。
しかし劇場で本編が始まる前に散々、予告編やらCMを流しておいて、いざ始まったと思ったら、更にDSのCMを流している。宣伝熱心と云うか、商魂逞しいと云うか。
そしてやっと始まりました『メロエッタのキラキラリサイタル』。
年に一度、満月の夜にポケモンの森で行われるメロエッタのリサイタルを聴く為に、沢山のポケモン達が集まっておりました──という、TVシリーズとは全く関係の無いメルヘンなお話。
舞台の上には「メロディツリー」なる不思議な光る樹が生えてきて、そこには五個の「メロディベリー」がなりました。これが音楽を奏で、ステージを盛り上げてくれるらしい。
しかし興奮したニャースがところ構わず爪を研いだお陰で(イワパレスの背中で爪研ぎしてはいけません)、怒ったイワパレスが〈すなあらし〉を発動。五個のメロディベリーのうち、四個までが森の彼方に吹き飛ばされてしまったのでした。当然、リサイタルは中止。
哀しむメロエッタの為にピカチュウたちはメロディベリーを探しに森の中へ──。
お話の方は他愛もないというか、森の中を駆け回ってメロディベリーをかき集めてくるだけなんですがね。ムスメらはそれが楽しいようで。
特に、上のムスメ(9歳)の反応が凄かった。
何が凄いと云って、舞台の上にメロディーツリーが生えてくる場面の演出に、心底ウットリした表情を浮かべている。キラキラと透過光で輝きながら、流れるように五線譜に似た枝を四方に伸ばし、その中をメロエッタ(中島愛)が飛びながら舞い踊る。
まさに心奪われる表情でスクリーンを見つめるムスメに、ちょっと心配になりました。
パパとしては、同じ中島愛のキャラが歌うなら、ランカ(げふんげふんげふん)。
それにしても、このポケモン達の配役が豪華ですなあ。大谷育江、福圓美里、林原めぐみ、渡辺明乃、かないみか、こおろぎさとみ、西村ちなみ、小桜エツコ……。これらの豪華声優陣が、全員擬音しか口にしない。「ミジュミジュ」とか「タジャタジャ」だけ。
これで何を云っているか大体、判るというのも凄いわ。皆さんベテランです。
無事にメロディベリーを回収し終わり、ハッピーエンド。エンディングは当然「みてみて☆こっちっち」。劇場内では小さなお友達があっちでもこっちでも歌っています。当然、うちのムスメらも。
下のムスメ(7歳)は座席に座ったまま踊っていました。同じ事をしているお子様は沢山おりましたので、特に目立ちませんですね。
続いて長編『キュレムVS聖剣士 ケルディオ』。監督はどちらも湯山邦彦でした。
劇場版長編作品になるとポケモン達も言葉を話するようになるらしく、本作の主役ケルディオ(中川翔子)も、キュレム(高橋克実)もちゃんと話します。のみならずケルディオの三人の師匠、コバルオン(山寺宏一)、ビリジオン(本田貴子)、テラキオン(安元洋貴)も全員、喋っている。中川翔子もすっかりアニメ声優が板に付いております。巧いものです。
逆にゲスト声優で笑ってしまうくらい浮いているのが、エンディング主題歌「Memories」を歌っているローラさん。しかし使い方が巧く、本編にはまったく関係の無い、駅弁を売っている売店のお姉さんという端役でした。
どちらかと云うとエンディング主題歌よりも、劇中で歌う「ダルマッカ弁当の歌」の方が楽しいくらいで(笑)。
♪おいしいおいしいダルマッカ~♪
しかも本当に商品化されそうなデザイン。中身より容器の方が高そうな弁当でしたが。
聖剣士というポケモンが世界を護っているそうですが、まぁそのへんの設定はスルーしましょう。未熟な若い剣士と、三人の師匠の修行の旅が本作のメインです。
なんかカンフー映画のようですね。
どういう理屈だか判りませぬが、一人前の聖剣士になるにはキュレムと戦い、これを倒さねばならないらしい。一種の通過儀礼のようなものか。
山奥の廃鉱となった鉱山跡地に居を構えたキュレムは、何となく山の主のような風情です。
己の力を過信し、血気に逸る若い剣士が、師匠の制止も聞かず、敵に戦いを挑み、惨敗を喫する。角をへし折られ、ズタボロになった末に、怖じ気づいて戦いの場から逃げ出してしまう。
ここまでが物語のプロローグ部分ですが、結構長いです。
ケルディオが逃げ出したところで、タイトルがドーンと表示され、高地の街ローシャンを目指しているサトシ達一行が高山鉄道に乗っている場面が、オープニング主題歌「やじるしになって!」と共に紹介されます。このシークエンスはなかなか楽しい。主題歌もノリの良い曲です。
途中の駅で、停車時間三分の間に人数分の駅弁を買いに走るなど、「鉄道の旅」が実に楽しそうです。
この列車の車両の上に、逃げ出したケルディオが飛び乗ったことで、サトシ達と出会う。更に、ケルディオを追ってキュレムも姿を現す。
列車の貨車の上でのアクションと云うのが、実に映画的なシチュエーションです。圧倒的に強いキュレムにやられそうになるところで、列車がトンネルに入って難を逃れるなどのお約束もテッパンです。
キュレムの追撃を逃れ、ローシャンの街に入ったサトシ達とケルディオ。しかしキュレムは諦めること無く追ってくる。
ポケモン世界で「最強のドラゴン・ポケモン」と謳われるキュレム。冷気を漂わせ、あらゆるものを凍結させながら姿を現すという演出が怪獣映画的で巧いです。姿を見せる前兆として、水面が凍り、発生した霧の中から影が現れる。
ローシャンの街の中央にそびえるタワーの上に舞い降りるキュレムの図が、モロに怪獣映画なので笑ってしまいました。
尺が短いので、ローシャンの街の住民は一切登場しません。もうちょっと怪獣映画ぽく街中で暴れ回る様子も観たかったですが、残念(尺が短いのでロケット団も出番無しですし)。
それでも背景となる街のロケーションはよく描き込まれていて、美術スタッフはいい仕事しています。
ところで、よく考えればキュレムは悪い奴ではない。戦いの場から卑怯にも逃げ出したケルディオを追いかけているだけで、人間を襲ったりするわけではない。
そもそも何故、聖剣士となる最終試験が「キュレムを倒す」ことなのか説明が無い。手を出さなければ静かにしているだけなのに。
そのあたりは、キュレムも承知の上のような描写もあります。試験官を自任しているのか。
ともあれ、サトシ達はケルディオを助け、一緒に街からの脱出を図りつつ、ケルディオの為に一人ずつ囮役を買って出ていく。
無私の友情に心打たれ、勇気を取り戻していくケルディオというのがなかなか感動的です。
ケルディオの三人の師匠が垂れる教えが回想シーンとなって去来する。
雑念を捨てろ。大事なのは集中力だ。
恐怖を克服しなければ前へは進めません。
負けてもいい。敗北から何を学ぶかが大事なのだ。
ますますカンフー映画なノリです(笑)。セリフとしては結構、いいことを云ってます。
ラストは最終試験場であった山奥のキュレムの巣に戻ってきて、再びケルディオは立ち向かう。虚栄心を捨て、仲間を救う為に覚悟を決めた姿に、聖剣士としての剣が発現する。鹿型のポケモンなので、角が剣になるワケですね。
圧倒的だったキュレムと互角に戦えるようになったところで、試験は終了。
特にキュレムを退治するわけでは無いので、ますます聖剣士になる為の試練というシステムがよく判りませんが、まぁいいか。
最後はキュレムの方から退いてくれたようで、格の高いポケモンらしく堂々と去って行く。やっぱり悪役じゃないですねえ。
師匠と同等の剣を生やしたケルディオ。四剣士となった聖剣士は、サトシ達と別れて旅を続けていく。それを見送るサトシ達。ベストウィッシュ。良い旅を。
それにしてもキュレムは、ノーマルな形態でいるときが一番カッコいいと思うので、特にホワイト・キュレムとか、ブラック・キュレムなどとフォームチェンジしなくてもいいと思うのデスが、それだと玩具が売れないからイカンのか。
別にレシラムやゼクロムと関係づけなくても、キュレムはキュレムのままが一番デス。
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