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2011年7月24日日曜日

ポケットモンスター ベストウィッシュ

ビクティニと黒き英雄ゼクロム
ビクティニと白き英雄レシラム

 90年代のTVアニメとしての無印ポケモンしか知りません。
 でも、うちのムスメらは今のTVシリーズを観るのである。遂にワケの判らぬ念仏のような歌を歌い始めた。「ポケモンいえるかな」か。一体、どこで覚えてくるのだ(ED主題歌か)。

 さて「理想の黒」か「真実の白」か、どちらを観るか。
 いや、問題はそこではない。どっちを先に観るのかである。
 こういうときに、うちのムスメ共はなかなか合意に達しない。わざとやっているのか。

 姉(8歳) 「理想の黒が先ッ」
 妹(6歳) 「しんじつのしろ~」

 いや、もう、パパはどっちが先でもいいんだよ。どうせどっちも観るんだろ? ジャンケンか何かで決めてくれ。するとジャンケンに負けた方が「三回勝負」とか云い出すので困ります。ああもう。ポケモンでそんなにモメないで。
 判っていたことですが、結局は同じ日に両方観ることになりました。
 幼いうちから映画をハシゴすることを覚えるのも如何なものかと思うのですがねえ。

 だが、こんな映画だとは思わなかった。
 これは同じ映画ではないか。

 サトシとピカチュウ御一行様は、山間の町アイントオークにやって来た。そこで開催されるポケモンバトル大会に参加する為である。そこで彼らは伝説のポケモン、ビクティニの噂を耳にする。ビクティニは、あらゆるポケモンをパワーアップさせる不思議な「勝利ポケモン」だと云う。
 一方でアイントオークの人々の歴史も語られる。かつては大地の民と呼ばれ、肥沃な平野「大地の郷」に暮らしていたが、国が乱れ、荒野と化した郷を捨て、民は方々に散ってしまっていた。
 青年ドレッドは荒野を甦らせ、再び大地の民を呼び戻そうと考えていた。その為にビクティニの力を借りようとするのだが、目的を遂げる為にビクティニを酷使する。ドレッドと止めようと、サトシは……。

 二本の映画は、どちらも同じ物語でした。いやもう、九割方は画も台詞も一緒。アドベンチャー・ゲームの分岐にように、若干、シチュエーションが変わるだけ。

 『黒き英雄ゼクロム』では、ドレッドは白龍レシラムを味方にして目的を遂げようとする。サトシはそれに対抗する為に、黒龍ゼクロムの力を借りる。
 『白き英雄レシラム』では、ドレッドは黒龍ゼクロムを味方にして目的を遂げようとする。サトシはそれに対抗する為に、白龍レシラムの力を借りる。

 敵味方が逆転するだけではないか。まぁ、些細なところで他にも違いはありますが。
 冒頭でドレッドが大地の民を呼び寄せようと奔走する場面のみ、それぞれにオリジナルですが、あとはもう一緒。
 ところどころ、同じポケモンでも色違いだったり、種類が違っていたり、ある場面の構図が『黒』と『白』では左右逆転していたりしますが。
 エンドクレジットで流れる主題歌は別々か。『黒』の主題歌は「宙 ─そら─」で、『白』の主題歌は「響 ─こえ─」。歌っているのはどちらも Every Little Thing で……。
 物語としての本筋はまったく変わらない。結末も一緒。
 なんじゃこりゃ。

 ビミョーな間違い探しゲームをさせられているような気になりました。

 うちのムスメらも最初に『黒』を観たときは、それなりに面白がり、感動もしていたようですが、次に『白』を観たときには、かなり期待外れだったような反応でした。

 「……なんか同じお話だったね」

 あからさまに「つまんない」と云われなかっただけマシか。こういう映画の公開手法は如何なものか。二本が同じ映画だと知らなかったこちらが悪いのか?
 なんか詐欺に引っかかって、倍の料金を支払わせられたように感じる。もうすこし観客のおサイフに優しいやり方は無かったのか。両方のチケットを買ったら割引になるような……。

 取り立てて二本の映画の差異が楽しめるような作りになっているワケでもなく、片方で語られていなかったことが、もう片方で明かされるような展開があるワケでもない。
 もうちょっと脚本を考えてもらいたかった。これでは安直だと云われても仕方あるまい。いやもう、安直だと云い切ろう。長寿番組の人気の上に胡座をかいたヒドイ商売である。

 私のポケモンに関する知識は、ムスメらのリクエストにより観に行った劇場版の知識しかない。『アルセウス 超克の時空へ』(2009年)と『幻影の覇者 ゾロアーク』(2010年)のみ。
 今作から旅をしているサトシの仲間の面子が変わっているのですが、それは訊くまでもないことなのか。
 タケシくん(うえだゆうじ)とヒカリちゃん(豊口めぐみ)はどこへ行ったのだ。
 今はデントくん(宮野真守)とアイリスちゃん(悠木碧)デスか。
 うーむ。豊口めぐみと悠木碧のどっちがいいのかという問題は大変難しいので、旅をするならヒカリちゃんとアイリスちゃんを二人連れて行けばいいのに。野郎は要らぬ。
 それ以前に、「ポケモン・トレーナー」という職業は判るが、「ポケモン・ソムリエ」ってナニ?
 うちのムスメは確かヒカリちゃんのポケモンであるポッチャマがお気に入りだった筈だが。
 その辺を娘に尋ねるとニベもない回答でした。

 「パパ、それはもう別のお話なのよ」

 ……はあ。そうですか。パパは無印ポケモンの頃しか知らないのデスよ。
 やはり一緒に観ている『仮面ライダー』とか『プリキュア』のようには理解出来ないのか。まぁ『ドラえもん』については心配ないが。

 ポケモンも、メインのキャストは90年代に始まった頃から変わっていないので、そのあたりは理解出来るよ。さすがに「ロケット団ってナニ?」なんぞという非常識な質問は発せずに済んでいるのが有り難いデス。
 とは云え、今作に於いてはロケット団の出番が非常に少ない。もう空気。
 もうちょっと活躍してはくれぬものか。

 ドレッド役のつるの剛士はなかなか声優としても巧いですね(まだちょっと硬いか)。他にも高橋英樹や大地真央がいたりして、ゲスト陣はそれなりに豪華です。
 ビクティニも水樹奈々だし、山寺宏一や中川翔子も役を変えながら今作もちゃんと登場してくれていますね。
 しかし高橋英樹がポケモンの声を演じるとは(笑)。
 ゼクロムが高橋英樹で、レシラムの方は谷原章介か。格の高いポケモンはそれなりの俳優を起用するのがお約束なのですか。
 まあ、美輪明宏がアルセウスを演じて以来、そういうのにも慣れましたけど。

 メインの配役で云うと、松本梨香と大谷育江のコンビはもう鉄板ですな。三木眞一郎、林原めぐみ、犬山イヌコのトリオもですが。
 将来、『ドラえもん』のようにメイン・キャストが刷新されるときが来るのでしょうかね。
 とりあえず来年の夏には、もうちょっとマシな映画をお願いマス。一本だけで良いです。


TVアニメポケットモンスター ベストウイッシュ 「ベストウイッシュ!」/「心のファンファーレ」
劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ「ビクティニと黒き英雄 ゼクロム」「ビクティニと白き英雄 レシラム」ミュージックコレクション
宙 -そら- / 響 -こえ-(ジャケットC)(ポケモン盤)

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