スティーヴン・キング原作&フランク・ダラボン監督だと『ショーシャンクの空に』とか『グリーンマイル』とかの感動系ストーリーをつい思い浮かべてしまいますが、もともとダラボンさんは『エルム街の悪夢3』『ブロブ』『ザ・フライ2』等のB級映画の脚本を沢山書いてる人ですから、こっちの素養の方が多いというか、本来はモンスター映画大好き人間だったのですね。
で、遂に念願かなって大怪獣小説『霧』を映画化したわけですが……。
これこそ真の〈ダラボン作品〉と申せましょう。今までは猫を被っていたのだ。
このダークで、救いのない、後味サイテーな映画こそ、ダラボンなのだ(ホンマかいな?)。
冒頭からかなり忠実に映像化しているなあと思っていたら、ラスト15分は完全オリジナル。キングでさえ「ちょっとは希望を残しておこう」としたのに、ダラボンさんてば情け容赦なし。
やはり原作の書かれた1980年から二十年以上経過しているからかしらねえ。
最近のアメリカ映画には多かれ少なかれ〈911同時多発テロ〉の影響が垣間見えますわ。その所為であんな結末になったのか?
いやもう、ちょっとビックリ。
えー、そんなラストでいいの? と、唖然とすること請け合い。
きっとDVD化されたら特典映像に「別エンディング」とかあるんじゃないの?
と云うか、原作通りのエンディングも撮っておいてほしいなあ。アレじゃ、ちょっと気が滅入るばかりです……。
一応、原作と同じく「希望は持ち続けろ」と云うメッセージにも受け取れますが、やはり「間違った選択をした者は報いを受ける」というのが強烈。イラク戦争への皮肉なのだろうか。
怪獣の造形は実に見事です。気色悪い。KNBエフェクツがいい仕事しています。
霧の向こうに霞んでよく見えない演出も怪獣映画の定番です。出来るだけはっきり見せないのがいいよね。
実力派の中堅どころで固めた俳優陣がなかなかイイ感じでした。特にウィリアム・サドラーがいい(笑)。
主人公が命をかけて守ろうとする幼い息子役がネイサン・ギャンブルくん。
『バベル』ではブラピの息子役だったそうだが、観てないなあ。しかしこの少年はなかなか可愛い。
ショタ属性をお持ちの腐女子のお姉様は萌え萌えであろう。是非、鑑賞後の感想を聞いてみたい(笑)。
何故か怪獣映画のクセに新宿歌舞伎町の劇場は混雑していた。カップルで観に来るなよ。キング×ダラボンだから勘違いしてたのか?
それともあのネイサンくんの可愛らしさに惹かれたのか?
●余談
ところでダラボン監督の次回作は『華氏451』のリメイクだそうな。
うーむ。
今度はまた感動系に戻るのか、それとも本性全開でダークにいくのだろうか。
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