テーマが現代風に変更されている点も良し。題名をカタカナにしなかった点も評価しよう。『ジ・アース・ストゥッド・スティル』とか云ったら配給会社を焼き討ちにしてやるところでしたが。
キアヌ・リーブスが異星人クラトゥ役ですが、この配役がいいですね。無表情に宇宙人を演じられる役者としては、カイル・マクラクランとかデヴィット・ボウイなどがおりますが、キアヌくんも仲間入りです。常人離れしてイケメンな俳優は宇宙人役に最適と申せましょう(笑)。
他にもジェニファー・コネリーが出演しておりますが、特筆すべきはジェイデン・スミスとキャシー・ベイツ。
ジェイデンくんは、あのウィル・スミスの息子ですが親父より役者やのう。
オリジナル版の少年よりもヒネていて、反抗期の少年な感じが素晴らしいです。
キャシー・ベイツは国防長官役ですが、最近は女性が要職に就いている映画が多いですね。007シリーズのジュディ・デンチに匹敵します。あるいはグレン・クローズとか。
長らくキャシー・ベイツは、俺的に〈ミザリーのおばちゃん〉でした(爆)が、これで印象が変わりました。
特にキアヌくんと会話するシーンがいいです。
「地球は〈人類の惑星〉ではない」という今回のテーマが端的に表現されています。
SFファンとしてはやはりロボットのゴートに触れておかねば。
オリジナル版より遙かに巨大で不気味な存在でした。しかしオリジナルのノッペリした外観がCGで強化された為に、なんとなく「バカでかいペプシマン」と云う感じになってしまいました(笑)。
一部、ジャパニメーションの影響が見て取れます。まるきりヱヴァンゲリオン的な演出(笑)。
あとオリジナル版にも「ゴートには地球を滅ぼせる能力がある」と言及されてはいたものの、実際には発動しなかった能力が遂に発動します。
なんとナノマシン攻撃。ゴートはナノマシンの集合体だったのだ。ただのデカいペプシマンではなかったのか。
まぁマニア的には、ナノマシンが拡大すると昆虫ぽい外観をしている点がツッコミどころだったりしますが(笑)。
ナノマシンが昆虫ぽいのは「イナゴの群れ」を連想させる為であろうと云うのが知人の指摘。なるほど。
他にも、劇中では「ノアの方舟」にも言及していたり。聖書のイメージが重ねられているのですな。
日本人にはイマイチピンと来ませぬが。
するとキアヌ・リーブスは「神の子」か。
ナノマシンによってあらゆる物体が分解されていく過程が見所です。
これはなかなか新しい表現ですね。『宇宙戦争』みたく光線ビカビカでドカーンなどという破壊シーンではないのがいい。
ただ、実はハイライト・シーンである「スタジアム崩壊」の映像は、他の映画でも既にやられていたのが惜しい。
「2008年サイテーなSF映画」として友人とも意見の一致を見た『ブラックホール/地球吸引』で、セントルイスの街がブラックホールに吸い込まれていく映像が、実は『地球が静止する日』に酷似しています。特にスタジアムがバラバラに分解しながら崩壊していく様が……。
うーむ。『ブラックホール/地球吸引』はZ級映画のくせに、こういうところだけは先見の明ありなのが癪に障るのう(笑)。
一応、オリジナル版に敬意を表した演出が散見されていたり、あの名台詞「クラトゥ・バラタ・ニクタ」も使われていたりしますが、肝心の「地球が静止する」場面が、改変強化されたテーマに少し合わなくなっているのが残念。
オリジナル版では、地球人を啓蒙する目的としてのデモンストレーションだったのですが、リメイク版では改めてデモンストレーションするまでもなく、異星人に逆らうとどうなるかナノマシン攻撃でイヤと云うほど見せつけただろうに。
とりあえず「静止する日」と銘打っちゃったから、止めておかないとね的な扱いなのが不満です。
どうせならガソリン車とか、火力発電所とか、「環境に優しくない動力機関のみ選択的に静止させる」という演出の方が、よりテーマを強調できたと思うのですが。
でもそれだと「地球が」という題名にそぐわないし。
GMやフォードがエンストしている隣を、トヨタのプリウスが走っていくというのではギャグだしなあ。
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